葛西よこやま内科・呼吸器内科クリニック

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逆流性食道炎(GERD)

<「逆流性食道炎」とは>


「胃食道逆流症」(GERD(ガード):Gastro Esophageal Reflux Disease)とも呼ばれ胃酸が食道へ逆流することにより胸やけもたれやなどの不快感を感じる病気です。 胃内容物によって不快感を起こした状態を言い、あくまで患者さん側が規定する疾患であるということがポイントです。実際、胃もたれや不快感等の症状は患者さんの方が診察する医師以上により重く感じている可能性があります。

GERDと長引く咳は関連している>


当院では、「長引く咳」「喘息」「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」の診察を行う際、GERDの有無について必ずF-scale問診票を用いて確認を行っております。「GERDは胃腸の病気なのになぜ咳の診察で確認するのか?」といいますと、GERDが長引く咳の原因となったり、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の悪化の要因となることが多々あるからです。例えば長引く咳に関連するお話では、原因としてGERDは欧米では最大33%程度と約1/3を占めるほどと言われており、日本でも最近ではGERDによる慢性咳嗽の患者さんが増えているという報告があります。咳が出ることでGERDが悪化し、さらに咳が悪化するという悪循環(Cough-Reflux Self Perpetuating Positive Feedback Cycle)」という概念も提唱されています。


<GERDのスクリーニング:F-スケール(FSSG)>


F-scaleは逆流性食道炎(GERD)の症状を評価する問診票です。12項目からなる質問項目をつけてみましょう。


<F-scale(FSSG)の解釈について>


点数は何点になったでしょうか?

8点以上: 感度62% 特異度59%
10点以上: 感度55% 特異度69%

(補足)
感度:疾患を持っている方のうちその検査が陽性になる割合
特異度:その検査が陽性であった場合にその疾患である確率

つまり、8点以上なら60%、10点以上なら70%の確率で逆流性食道炎があると診断可能です。

<胃カメラ正常の胃酸逆流症:NERD>


上部消化管内視鏡(胃カメラ)を行った際に、逆流性食道炎と診断を受けた方もいらっしゃると思います。それでは胃カメラ所見で異常が見られない場合は、胃食道逆流症がないと診断してもよいのでしょうか?実は、胃カメラ陰性の胃酸逆流症=NERD(非びらん性GERD)という疾患概念があります。

・内視鏡所見(食道粘膜障害)あり:GERD(逆流性食道炎)


・内視鏡所見(食道粘膜障害)なし:NERD(非びらん性胃食道逆流症)


<咽喉頭逆流症(LPRD)とは?>


胃酸逆流が食道のみならず下咽頭まで及び、喉の違和感・嗄声(声がれ)・慢性咳嗽の原因となる病態をGERDと区別し「咽喉頭逆流症(LPRD)」といいます。 咽喉頭はセンサーとなる神経が多数集まっていること、胃酸に対する防御が弱いことが問題となります。 近年、LPRDは治療抵抗性の慢性咳嗽の原因となっているのではないかと注目されていますが、日本人の報告ではLPRD患者のうち89%は上部消化管内視鏡によるGERDを認めなかったと報告されており、LPRDによる咳嗽の診断を難しくしている理由でもあります。LPRDを症状から診断するツールとしては、RSI (Reflux Symptom Index)問診票があります。14点以上で高値とされています。

< RSI (Reflux Symptom Index)問診票 >

胃酸が咽喉頭に逆流する疾患を「咽喉頭逆流症(LPRD)」といい、胃カメラでは所見を認めないことが多く慢性咳嗽や喉の違和感の原因となる。喉頭ファイバーで炎症所見を認めるほか、RSI問診票による症状診断方法(14点以上)もある。


<GERDの治療>


GERDやNERDの基本治療はPPI(プロトンポンプインヒビター)という胃酸を抑える薬を用いて行います。しかし、PPI内服中でも1/3の患者で週に1回は症状が残存しているといわれています。GERDではPPIにより80-90%奏功するといわれていますが、NERD(内視鏡所見なし)ではPPIにより40-50%しか奏功しないといわれています。そのような方にはP-CAB(イオン競合型アシッドブロッカー )へ切り替えを行ったり、もたれ症状の改善を目的とし、アルギン酸塩(アルロイドG)、イトプリド(ガナトン)、モサプリド(ガスモチン)等が投与されることもあります。漢方薬では逆流症状メインの場合は半夏瀉心湯、もたれ症状メインの場合は六君子湯、喉の違和感(咳払いやイガイガ感)を伴う場合には茯苓飲合半夏厚朴湯、 不安や不眠、胸苦しさなどの症状を伴う場合は加味帰脾湯などを使用することもあります。

<当院でのGERDの治療例>

<胃酸逆流症状>

・プロトンポンプ阻害薬(PPI)

・ イオン競合型アシッドブロッカー (P-CAB)

<もたれ症状>

・イトプリド(ガナトン)

・モサプリド(ガスモチン)

・アコチアミド(アコファイド)*

(*)「機能性ディスペプシア*」のみの保険適応

<漢方薬>

・半夏瀉心湯(胸やけ症状)

・六君子湯(もたれ症状)

・茯苓飲合半夏厚朴湯(喉の違和感が強い場合)

・加味帰脾湯(不安・不眠などを伴う場合)


胸やけ、もたれ症状の有無により複数を組み合わせて処方することもあります


<難治性GERDの方は胃カメラを受けましょう>


通常のPPIで効果がない場合、P-CAB( ボノプラザン)への切り替へや、もたれ主体の機能性ディスペプシアに対するアコチアミドが奏功することがあります。(機能性ディスペプシアは上部消化管内視鏡により食道や胃に疾患を同定出来ないにもかかわらず胃の不調がある時につけられる病名)また好酸球性食道炎(EoE)も鑑別に挙がり、その場合も食道からの生検が診断に有効とされます。通常の治療に対する治療抵抗性のGERDを認める場合、直近で胃カメラを受けられていないようでしたら、ぜひ一度胃カメラを受けましょう。上手に胃カメラを施行頂ける専門医をご紹介致しますので、ご安心してください。

<GERD:生活上で気を付けること>

・カフェイン、アルコール、柑橘類、脂質は胃酸分泌を促進しますので控えましょう。

・ 寝る直前(3時間以内)に食事を取るのはやめましょう

・ 疲労、ストレス、睡眠不足は症状悪化につながりますので気をつけましょう

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