2024.12.22 大阪で行われました重症喘息に関する講演会に参加致しました。
以下、聴講録となりますので、ご興味がある方はぜひご覧ください。
<講演1>
好酸球-IL-5の温故知新
植木重治 先生
・好酸球は環境に応じて変化し、複数の放出機構を持つ
・気道内腔の好酸球が活性化すると粘液栓形成に寄与
・IL-5は好酸球を増やし、働きを多面的に助けるが細胞の分化には影響しない
Jorssen J, Immunity. 2024 Jul 9;57(7):1549-1566.e8.
・メポリズマブ下の血中好酸球の遺伝子発現パターンはほぼ同じ(数は減る)
Van Hulst G,Eur Respir J. 2022 Mar 17;59(3):2100935.
・体全体から見ると血中に好酸球はいない
Sender R,Proc Natl Acad Sci U S A. 2023 Oct 31;120(44):e2308511120.
・ステロイドは好酸球を骨髄に留め置く
Hong SG,Blood. 2020 Dec 3;136(23):2667-2678.
・メポリズマブは好酸球の減少とエフェクター作用の抑制効果を持ち、ステロイドと異なる作用点を有する
Kamide Y, Allergy. 2024 Nov 11.
・提唱されるIL-5の多面的な作用
Buchheit KM,Allergy. 2024 Oct;79(10):2662-2679.
Topics:
重症喘息に対し全身ステロイドを投与することがあるが、全身ステロイドと抗Il-5では作用点が異なり、抗IL-5は好酸球のみならず幅広い多面的な作用を有するかもしれない。一方の全身ステロイドについては好酸球を骨髄に留め置いていることが主な作用であることが分かっている。また、抗IL-5の好酸球に対する主な効果は末梢血および組織中の好酸球減少であり、好酸球自体の遺伝子発現パターン(形質)を変えているわけではない。
<講演2>
IL-5/好酸球による将来のriskを見据えたバイオ製剤の選択~重症喘息に合併する鼻症状の真の意義
玉田 勉 先生
・血中IL-5濃度により、血中好酸球数およびその他の細胞に与える影響は異なる。高IL-5下では気道上皮障害やバリア機能障害(鼻茸形成の可能性)、マスト細胞産生活性化(鼻茸形成の可能性)中~高等度のIL-5下ではステロイドによる好酸球生存が減少し、アポトーシス促進を抑制、好酸球のステロイド抵抗性を獲得、線維芽細胞増殖・活性化による気道リモデリング進展の可能性がある。(玉田医師)
・バイオ製剤投与後FEV1は6か月以降は有意な改善はなかったが、FEF25-75%は18か月まで改善し続けた。
・バイオ製剤投与後10か月時点ではFEV1よりもFEF25-75%の方が良好に改善した。
Chan R,J Allergy Clin Immunol Pract. 2021 Jul;9(7):2907-2909.
・OCS屯用と合併症発現リスク~年1回でもリスク上昇
Heatley H,Thorax. 2023 Sep;78(9):860-867.
Topics:
鼻茸形成を伴う副鼻腔炎(ECRS)を併存する喘息では高IL-5状態にあると考えられる。ECRS発症早期(5年以内)では抗IL-5抗体製剤で十分なコントロール、一方5年以上経過したフィブリン沈着後の形成期においては抗IL4/13抗体製剤が必要なのではないか。(玉田先生私見)
<講演3>
Beynd Eosinophil and Clinical Remission with Mepolizumab and J-CIRCLE
丸毛 聡 先生
・臨床的寛解の定義
・生物学的製剤による臨床的寛解の達成率
・IL-5製剤によるマスト細胞を減少・制御できる可能性
Alvarado-Vazquez PA, J Allergy Clin Immunol. 2024 Nov 7:S0091-6749(24)01169-2.
・Mepolismabによる気道リモデリング改善効果
Domvri K, J Allergy Clin Immunol. 2024 Nov 7:S0091-6749(24)01168-0.
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