2024.08.24 東京で行われました重症喘息に関する講演会に参加致しました。
以下、聴講録になります。
ご興味がある方はご覧ください。
<講演プログラム>
消費者行動を「行動経済学」で解き明かす
~重症喘息患者さんの深層心理と消費行動の分析~ 依田 高勅 先生
・行動経済学から治療選択を考える
・行動経済学とバイアス
<進化心理学的に合理的>
・ソマティックマーカー仮説
-気道哀楽の感情に左右される人間
-闘争か逃走か 遺伝的に埋め込まれたアラーム
-生存に有利なように瞬時に行動を方向づけ
・進化心理学的に見た限定合理性
-繰り返しのきかない時間の不可逆的
-病気やケガ 一度の重大リスクが命取り
-現在性を重視し、不確実性を嫌うバイアスの起源
・文明への適応障害が生き辛さに
-環境が変わっても、遺伝子は急に変わらない
・バイアスは心のクセ
汝自身を弱さを克服
生活習慣を管理
・行動経済学を治療選択に活かす
喫煙について
・現在の小さな健康か、将来の大きな健康か
・確実な小さな健康か、不確実な大きな健康か
・喫煙者は非喫煙者よりも現在バイアスが大きい
・喫煙者の現在バイアス
・喫煙者ほど時間割引率が大きい
非喫煙者:現在の100円と1年後169円(時間割引率69%)
喫煙者:現在の100円と1年後223円
Ida 2009 International Economic Review50.4
・禁煙者のバイアス
禁煙後半年追跡、成功率約5割
成功者開始時点:現在100円→1年後218円(118%)
成功者終了時点:現在100円→1年後189円↓
失敗者開始時点:現在100円→1年後221円
失敗者開始時点:現在100円→1年後253円↑
禁煙成否と現在性バイアスが相関している
Ida 2009 Addiction104.6
現在受けている既存治療
短期的効果=小さい効果ー安い費用
受けたことのない新規治療
長期的効果=確率×大きい効果ー高い費用
治療選択にも現在性・確実性バイアスが働く
・人間は費用を収入程に割り引かないので、高い費用が一番の阻害要因には違いない(損失回避性)
・未来の不確実な大きい効果を大きく割り引くことがもう1つの要因ではないか
・心のクセに寄り添って、長期的効用最大化を心掛ける
抗TSLP抗体の位置づけをどう考えるか
臨床の側面 発売後1年半で分かったこと 髙橋 浩一郎 先生
・個体要因と環境要因について
基礎の側面 気管支喘息における炎症のメカニズム 中尾 篤人 先生
・ILT-25:Turft細胞により産生される(特殊な環境刺激に対応)
・IL-33:細胞障害により放出される(シビアな危険を知らせる)
・TSLP:どんな環境刺激にも敏感
・T2Lowの場合もマスト細胞は気道過敏性と相関する
・マスト細胞はTSLPの産生細胞でもあり標的細胞でもある
・マスト細胞はICSを使用していても気道上皮に残存している
・マスト細胞はNon-T2フェノタイプの中に隠れているかもしれない