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【講演会参加】Severe Asthma Forum(神戸)

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2024.06.23 神戸で行われた重症喘息に関する講演会に参加しました。
講演プログラムは以下の通りです。

講演1 膠原病領域における分子標的薬による治療革新(亀田秀人先生)
講演2 喘息患者の将来のリスク回避のために(福永興壱先生)
講演3 サイトカインネットワークと喘息
講演4 Remissionを目指した重症喘息治療~歴史的変遷と臨床応用について~
講演5 生物学的製剤によるClinical Remissionの達成

聴講録と所感を以下にまとめます。
(私個人の見解に基づくものであることをご了承ください)

<講演1>
・関節リウマチのガイドラインの治療原則 SDM
・SF36によるQOLの評価を重視
・寛解達成とQOL/身体機能/労働生産性の影響
・RAの治療にはPhase1-3あり、状況においてPhaseを上げていく
・寛解とは:有意な炎症がなく将来の関節破壊や機能障害が生じない状態(RA自体の将来のリスクが生じない状態)
・SLEとは多彩な臨床像を呈する疾患
・SLEの管理はSDMに基づくべきであり、全身状態と臓器障害の進行を抑制することを目標としている
・SLEは様々な分子標的薬が登場している
・SLE:ステロイドの減量の仕方:以前よりもだいぶ早いタイミングで減らす方向となっている
・血管炎:ステロイドの減量の仕方も同様に早いタイミングで減らす方向となっている
・寛解の定義:OCS<5mgが組み込まれている
・治療の決定は有効性・安全性・医療費用負担のバランスが各患者の各経過時点で将来も見据え最善となるように行う

所感:
治療の決定は有効性・安全性・医療費用負担のバランスが各患者の各経過時点で将来も見据え最善となるように行うこと、それはShared Decsionに基づき行うこと、ということが重要だと思います。膠原病の管理も重症喘息の管理も共通しているのは「疾患負担が大きいこと」「ステロイドによる有害事象」「生物学的製剤の効果が高いこと」「治療費用の問題があること」ということです。専門医は患者さんの病状を詳細に評価を行った上で、患者さんに最適な治療を提供しなければなりません。一方で治療費用の面、それらを含めて患者さんがその治療を理解し、治療費用を受け入れられるかどうか、我々医療者は患者さんの価値観を含めて情報提供を行っていかなければならない。クリニックで働く専門医にとって「Shared Decision Making」は今後の重症喘息の治療を考える上でのテーマになるのではないかと思います。

<講演2>
・喘息治療におけるOCS使用に関するコンセンサス(AAN)
・日本人の喘息におけるOCSの使用状況:全体の20%、重症度に従い使用割合は上昇していく、重症喘息では平均3mg/day(Nagase)
・喘息患者は骨粗鬆症のリスクが高い
・重症喘息患者ではOCS使用によるOSASのリスクは非使用群と比べ3倍である
・RCTとRWEの意義
・TRAVERSE試験(RCR)
・CROSS ROAD(RWE):増悪率 1.29/年→0.74/年, 3.00→0.0(OCS Burst)
・ガイドライン:将来のリスク回避の意義について

所感:
講演内容については既知でしたので、ここの部分についての意見はありません。個人的に残念であったのは。講演最後に演者に回答いただきたいアンケートをとる仕組みとなっているのですが、参加者が選んだのはOCSの投与量と生物学的製剤についての質問でした。選択肢の中には「将来のリスク」「生物学的製剤」をどのように患者に説明しますか?という患者コミュニケーションを問う内容もあったのですがこの質問は選ばれませんでした。経験則ですが、患者さんが生物学的製剤を受け入れるためには「OCSがいかにリスクか(損失フレーム)」「生物学的製剤の有効性(利得フレーム)」による情報提供だけではなく、「我々医療者がどのように患者さんと向き合うか」という、患者コミュニケーションアプローチが最後の1ピースだと思います。演者が患者さんとどのようなコミュニケーションをとっているのか、これはまさにうなぎ屋の門外不出の継ぎ足し続けているタレの極秘レシピのようなもの(笑)でして、このような質疑の場でしか聞くことが出来なかっただけにとても残念でした。

<講演3>
・IL13はバリア関連分子の発現低下を起こす、寄生虫などに対し好酸球などを細胞外へ誘導するためであると考えられている。
・IL33→ILC2→IL13→バリア機能の低下
・外的因子とバリア機能破綻、アレルゲンによって仕組がことなるので、選ぶ製剤もそれによって異なるだろう

所感:特にありません

<講演4>
・Clinical Remissionの定義について
・「喘息症状」「増悪抑制」「OCS使用なし」に加え「呼吸機能」を含めるかどうかが議論となっている
・生物学的製剤早期導入により、将来のCR達成が変わってくる可能性がある(罹病期間とCRの関係)
・CR導入は、将来のリスク回避/軽減、および治療方針の指標となることが目的

所感:
あえて喘息のCRを提言し足並みをそろえていかないといけないという背景を考える必要があると思います。「喘息症状なし」「喘息増悪なし」「OCS使用なし」「呼吸機能正常化」については、おそらく喘息を専門とする呼吸機能内科専門医では普段から意識して行っているのだと思います。ですので、このCRという考え方を浸透させなければならないのはそうではない医療を行っている医療機関に対してであると思っています。OCS依存的となり、生物学的製剤投与を行うことが難しい医療機関では、CRという概念を旗印として「自院でも生物学的製剤投与を行っていくのか」それとも「医療連携により解決を図っていくのか」を考えていくべき課題だと考えています。

<講演5>
・DMAADとは
・健康寿命を良好に保つには呼吸機能を保つ必要がある
・Clinical Remissionの達成率:呼吸機能は達成率が悪い
・Dupilmabは呼吸機能改善において唯一の強い推奨となっている

所感:
重症喘息の治療がこの10年で大幅に変化する中で今後どのような指標をもとに長期管理を行っていくべきか、より高い治療目標が課せられていると思います。生物学的製剤については、そもそも重症喘息の背景に多様性を認めることから、この製剤だけ使用しておけば良いというものはなく、患者さんのプロフィールに応じた使い分けは必要であろうと考えています。

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