2023.10.5に行われたLYFNUA Cough Seminar in城東にて、呼吸器専門医から診た咳嗽診療と題して講演を行いました。この講演会は、第一部では呼吸器の立場から私が、第二部では消化器専門医の立場から、四谷メディカルキューブ減量・糖尿病外科センターの関洋介先生に講演をいただきました。咳嗽は様々な原因で起こり、診断には臓器横断的な視点が必要となります。喘息、咳喘息、アトピー咳嗽、喉頭アレルギー、上気道咳症候群、逆流性食道炎、これらの疾患が患者さん毎に一定の割合で混在していると考えられます。内科開業医は限られた時間とリソースにより、咳嗽の診療の初期対応を行う必要があります。詳細な問診と咳嗽が起こる時間帯を確認し、鑑別疾患を絞り込んでいく症候学について紹介しました。また各論では、最近増えているとされる逆流性食道炎(GERD)に焦点をあて、NERD(非びらん性胃食道逆流)やLPR(咽喉頭逆流症)などの概念についても確認しました。これらの鑑別および治療を十分に行っても改善しない咳嗽を「難治性慢性咳嗽」といいます。難治性慢性咳嗽に対する新たな末梢性鎮咳薬である「リフヌア」について、どのような効果があるのか症例を提示し有効性についても考えました。第二部では、関先生より、難治性GERDに対する新たな診療アプローチとして24時間pH, インピーダンス検査や、Nisen法などの外科的手術についてお話頂きました。PPI不応性のGERDやNERD, LPRDにより、難治性咳嗽を来す患者さんは潜在的に多数存在していると考えられます。そのような患者さんを我々呼吸器内科医がいかに特定し、病診連携につなげられるか、が今後の課題かと思いました。大変勉強になりました。
【講演会演者】呼吸器専門医から診た咳嗽診療
2023.10.05