小児科について
こどもは、成人と比べて身体の各部位やその機能が未発達です。そのため、症状や疾患も大人と異なるこども特有のものがあらわれます。当院では、そういった疾患のほかにも日常的に続く咳やくしゃみ、鼻水、鼻づまり、腹痛や下痢、ひきつけや夜尿症などにも幅広く対応します。こどもは少々体調が悪くても、自分では症状を言葉でうまく表現できないことも多いため、ご家族による気づきが大切です。
よくある症状
- 咳
- 痰
- 発熱
- 鼻づまり
- 鼻水
- のどの痛み
- ぜーぜー、ヒューヒューする
- お腹が痛い
- 吐き気
- 嘔吐
- 便秘
- 下痢
- 湿疹
- 泣き方がいつもと異なる
- 食欲がない
- 何となく元気がない
- 顔色が悪い
など
風邪
「かぜ」は鼻やのどに微生物が感染して起こり、咳、のどの痛み、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、声がれ、発熱などの症状があらわれる疾患です。原因のほとんど(80~90%)はウイルスです。そのためインフルエンザなどを除いて特効薬がなく、症状をやわらげる治療(対症療法)が主体となりますが、通常は1週間程度で自然治癒が期待出来ます。当院の基本方針として「耐性菌予防」の観点から、かぜウイルス感染に対しては基本的には抗生剤を処方致しませんが、症状や経過に応じてCRPや迅速診断検査、必要に応じて胸部レントゲン検査を行い、細菌感染の可能性が高いと考えられた場合は、病態にあった適切な抗生剤による加療を行います。
長引く咳
咳嗽(がいそう)とは、一般的な咳を指します。咳嗽は、肺や気管支などに異物が入ってしまった時に異物を排除しようとして出るもので、誰にでもある自然な反応です。しかし、いつまでも治まらない状態は慢性咳嗽といい、治療が必要になります。咳が続くことで、体力を消耗し、安眠の妨げになることもあります。こどもの場合、感染症や鼻水が喉に流れ込む後鼻漏、喘息をはじめとしたアレルギーによる咳が考えられます。また、8週間以上咳が続く場合には、百日咳のような疾患も検討します。
診断は、アレルギーの有無を確認し、原因を特定するため、詳細な問診、血液検査や胸部や副鼻腔のレントゲン検査などの様々な検査を行って総合的に判断します。
小児喘息
喘息の原因はいくつか考えられますが、小児喘息は、ほとんどがアレルギー体質に由来するものです。多くは2~4歳ぐらいで発症しますが、稀に乳児期に発症することもあります。
主な症状として、昼間は元気なのに夜寝ていると咳き込みやすい、明け方など決まった時間になると咳き込む、部屋で暴れたりするとヒューヒュー・ゼーゼーという喉なりが聞こえる、などがあります。喘息は、診断が難しく発見されないこともありますが、このような症状に気づいたら早めに専門医に相談してください。
当院では、様々な呼吸器系の検査などによって診断します。その上でそれぞれの状態にあわせての治療となります。喘息は放置してしまうと気管が狭くなったままになるようなこともありますので、まずはご相談ください。
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎は、吸い込んでしまったアレルゲンが鼻の粘膜に付着して、アレルギー反応を起こす鼻腔内の炎症です。風邪などの感染症であれば、鼻、のどといった広範に症状を起こしますが、アレルギー性鼻炎の場合は、鼻水や鼻づまり、くしゃみなど、鼻の周辺に限定的な症状が起こります。
原因物質としては、季節性のアレルギーの代表である花粉のほか、季節にかかわらず空気中に含まれるハウスダスト、カビ、ペットの毛、人間のフケ、ダニなど様々なものが考えられます。
アレルギーの対策は、アレルゲンにできるだけ触れないことが一番です。検査によって、アレルギーを起こす物質であるアレルゲンを特定し、できるだけその物質に触れないようすることが大切です。治療はそのための生活指導のほか、抗アレルギー薬の内服や点鼻によって症状を抑えていきます。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が低下することで、通常は表皮がブロックしてしまうアレルゲンをブロックできなくなった状態です。皮膚に痒みを伴う湿疹が、多くの場合左右対称にでるのが特徴です。幼少時にはじまり、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、ほとんどは成人までに消えていきます。しかし、中には成人になっても治らなかったり、成人になって突然アトピー性皮膚炎を発症したりする人もいます。アトピー性皮膚炎は、皮膚が乾燥しやすい体質とアレルギーを起こしやすい体質を併せ持つ人に発症しやすい傾向があります。
治療は、痒みを止めてアレルギーを鎮める薬と保湿を中心に薬物療法を行います。
食物アレルギー
特定の食物によって、蕁麻疹などの皮膚症状、喘鳴などの呼吸器症状などのほか、消化管に影響がでることもあります。原因となる食物は多岐にわたりますが、主な物としては、小麦、そば、大豆、乳製品、鶏卵、エビ、カニ、サバなどが挙げられます。これら1つがアレルゲンの場合も、複数の物質がアレルゲンとなることもあります。
アレルギー対策は、まず原因となる物質をつきとめることから始まります。そのため、血液検査などで原因となる食物を調べます。治療は医師の指導のもとに食事療法を行い、アレルギーを発症したときのために薬物療法を併用します。舌下免疫療法といって、アレルゲンを少量ずつ口に含み、だんだん身体に慣らしていく治療法もあります。