会話中に出る咳
こんな症状はありませんか?
- 会議中に咳が出る
- 電話中に咳が出る
- 大事な商談中に咳が出る
- 会話で咳が出そうになる
会話中に出る咳の原因は?
会話中に咳が出ると、とても困りますよね。仕事にならない、相手に迷惑をかけてしまう。そんな悩みを持った方がよく呼吸器内科の外来に訪れます。長引く咳の原因には実は様々な病気があります。では「会話中に出る咳」という症状はどんな疾患を疑えばよいのでしょうか?
咳の原因は1つとは限らない
この記事を読んでいただく上で知っておいていただきたいのは、咳の原因は1つとは限らないということです。例えば咳喘息+喉頭アレルギー、咳喘息+副鼻腔炎など複数の疾患が存在することも多々あります。症状から推測しどんな病気を疑うのか、呼吸器内科医の視点で検証してみます。
【Case1】
「寒暖差や季節の変わり目で咳が出る。夕方以降に咳が悪化し、咳で夜起きることがある。痰はからむがあまり出ない。」
寒暖差や季節の変わり目などで咳がでる体質を「気道過敏性」といいます。気道過敏性が亢進(こうしん)すると、会話中でも咳が出ることがあります。気道過敏性が亢進するのは咳喘息や喘息です。いずれも夜~寝ている間に咳が悪化するのが特徴ですが、悪化すると日中にも咳が出るため会話中でも咳が悪化することがあります。「喉のつまり感」を伴うのも咳喘息の特徴です。
症状
- 寒暖差や季節の変わり目で咳が出る
- 夜~寝ている間に咳が悪化する
- 季節の変わり目や寒暖差で咳が出る
- 喉がつまった感じがする
- 呼吸が苦しい、ゼイゼイ、ヒューヒューする
考えらえる疾患
【Case2】
「胸やけ、もたれ症状、のどの違和感がある。食後に咳が悪化する。会話中に咳が悪化する。夕方から夜にかけて咳が悪化するが夜寝ている間に咳で起きることはない。」
胃酸が逆流性して食道が炎症を起こす疾患を逆流性食道炎(GERD)、のどが炎症を起こす疾患を咽喉頭(いんこうとう)逆流症(LPRD)といいます。GERDやLPRDは、喉の違和感(咽喉頭異常感:イガイガ感、つまり感)を伴う咳が特徴で、「夕方~夜にかけて悪化する咳」、「会話中の咳」、「横になると悪化する咳」が特徴です。ただし、寝ている間に咳で起きることはあまりありません。
症状
- 夕方~夜にかけて咳が悪化するが寝ている間は咳で起きない
- 会話中や食後に咳が悪化する
考えられる疾患
- 逆流性食道炎(GERD)
- 咽喉頭逆流症(LPRD)
【Case3】
「のどがイガイガし、夕方~夜にかけて咳が悪化するが、夜寝ている間に咳で起きることはない。ホコリやダニ、花粉に対するアレルギー体質があり、季節の変わり目で悪化する。」
のどの違和感(イガイガ感)を伴い、季節の変わり目などで悪化する咳があれば季節性喉頭(こうとう)アレルギーを疑います。また、気管支拡張薬の吸入やテープが無効であればアトピー咳嗽(がいそう)も鑑別に挙がります。「夕方~夜にかけて悪化する咳」「会話中の咳」「横になると悪化する咳」「寝ている間は咳で起きることはない」という特徴は逆流性食道炎(GERD)や咽喉頭逆流症(LPRD)と類似しています。「アレルギー体質(アトピー素因)」があり、「季節の変わり目で悪化する咳」があれば、季節性喉頭アレルギーやアトピー咳嗽を疑う根拠になります。
症状
- 夕方~夜にかけて咳が悪化するが寝ている間は咳で起きない
- 会話中に咳が悪化する
- 季節の変わり目で咳が悪化する
- 花粉やほこり・ダニなどのアレルギーがある
- 吸入薬や気管支拡張薬が効かない
考えられる疾患
- 季節性喉頭アレルギー
- アトピー咳嗽
【Case4】
「痰がのどにからみ発作的に咳が悪化する。日中(会話中も)、夜を問わず咳が出るが、寝ている間は気にならない。鼻がのどの奥に垂れ込む感じがあり、痰は黄色いことが多い。起床時に黄色い塊の痰が出ることがある。痰を1回出すと咳はしばらくでない。頬のあたりが重たい感じや、頭痛がある。匂いがしにくい、鼻が詰まっている。」
上記のような症状がある時は、副鼻腔炎や後鼻漏(鼻が喉にたれこむこと)による咳(上気道咳症候群)を疑います。鼻が出てくる理由としては副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などがあります。副鼻腔炎には上顎洞(じょうがくどう)炎(頬のあたり)と篩骨洞(しこつどう)炎(鼻のまんなかのあたり)があり、発症時期により急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎があります。慢性化すると数か月単位で咳が悪化します。篩骨洞という場所に副鼻腔炎が起きると匂いがしにくくなることがあります。細菌感染によるものと、アレルギー性(好酸球性)によるものがあります。またアレルギー性鼻炎でも鼻がのどの奥に垂れ込み(後鼻漏)咳が悪化することもあります。
症状
- 黄色痰がのどに絡み、発作的にひどい咳が出る
- 昼夜問わず(会話中も)咳が出るが寝ている間は気にならない。
- 痰が1回でるとしばらく咳が出ない
- 鼻づまりやにおいがしにくい
- 鼻が喉の奥に垂れ込む感じがある(後鼻漏)
- 頭痛がある
考えられる疾患
- 上気道咳症候群(後鼻漏)
- 急性副鼻腔炎
- 慢性副鼻腔炎
- 好酸球性副鼻腔炎
季節の変わり目に出る咳
こんな症状はありませんか?
- 春先や秋になると咳が出る
- 花粉症の後に咳が止まらなくなる
季節の変わり目の咳の原因は?
春先や秋など暖かくなったり肌寒くなる季節の変わり目になると、毎年咳が出始める方はいませんか?季節の変わり目は体調を崩しやすいと思われている方も多いかもしれません。季節の変わり目に咳が悪化する病気がありますので症状とともにご紹介したいと思います。
咳の原因は1つとは限らない
この記事を読んでいただく上で知っておいていただきたいのは、咳の原因は1つとは限らないということです。例えば咳喘息+喉頭アレルギー、咳喘息+副鼻腔炎など複数の疾患が存在することも多々あります。症状から推測しどんな病気を疑うのか、呼吸器内科医の視点で検証してみます
【Case1】
「寒暖差や季節の変わり目で咳が出る。夕方以降に咳が悪化し、咳で夜起きることがある。痰はからむがあまり出ない。」
寒暖差や季節の変わり目などで咳がでる体質を「気道過敏性」といいます。気道過敏性が亢進(こうしん)すると、会話中でも咳が出ることがあります。気道過敏性が亢進するのは咳喘息や喘息です。いずれも夜~寝ている間に咳が悪化するのが特徴ですが、悪化すると日中にも咳が出るため会話中でも咳が悪化することがあります。「喉のつまり感」を伴うのも咳喘息の特徴です。
症状
- 寒暖差や季節の変わり目で咳が出る
- 夜~寝ている間に咳が悪化する
- 季節の変わり目や寒暖差で咳が出る
- 喉がつまった感じがする
- 呼吸が苦しい、ゼイゼイ、ヒューヒューする
考えられる疾患
【Case2】
「のどがイガイガし、夕方~夜にかけて咳が悪化するが、夜寝ている間に咳で起きることはない。ホコリやダニ、花粉に対するアレルギー体質があり、季節の変わり目で悪化する。」
のどの違和感(イガイガ感)を伴い、季節の変わり目などで悪化する咳があれば季節性喉頭(こうとう)アレルギーを疑います。また、気管支拡張薬の吸入やテープが無効であればアトピー咳嗽(がいそう)も鑑別に挙がります。「夕方~夜にかけて悪化する咳」「会話中の咳」「横になると悪化する咳」「寝ている間は咳で起きることはない」という特徴は逆流性食道炎(GERD)や咽喉頭逆流症(LPRD)と類似しています。「アレルギー体質(アトピー素因)」があり、「季節の変わり目で悪化する咳」があれば、季節性喉頭アレルギーやアトピー咳嗽を疑う根拠になります。
症状
- 夕方~夜にかけて咳が悪化する
- 寝ている間は咳で起きない
- 会話中に咳が悪化する
- 季節の変わり目で咳が悪化する
- 花粉やホコリ・ダニなどのアレルギーがある
- 吸入薬や気管支拡張薬が効かない
考えらえる疾患
- 季節性喉頭アレルギー
- アトピー咳嗽
のどの違和感(咽喉頭異常感)
こんな症状はありませんか?
- のどがイガイガする
- のどがヒリヒリする
- のどに何かがつまった感じがする
- のどに薄皮が張った感じがする
- のどが締め付けられた感じがする
- のどに痰がひっかかる感じがする
のどの違和感を来す原因は?
のどのあたりの異常感を「咽喉頭(いんこうとう)異常感症」といいます。
咽喉頭異常感を来す原因には、様々なものがあります。
咽喉頭異常感を来たす疾患一覧
のどの違和感のみで、咳や痰は出ない場合
咳や痰などの気道症状がなく咽喉頭異常感のみを認める場合は、まず耳鼻科に受診し喉頭ファイバーでのどの観察をしてもらいましょう。炎症や悪性腫瘍などの除外を行うことが大切です。当院では喉頭ファイバーを上手に施行いただける耳鼻科さんをご紹介出来ますので、ご希望の方は遠慮なくおっしゃってください。
のどの違和感+咳や痰
基本的に上気道(鼻やのど)に明らかな異常が見られない場合、下気道(気管支~肺)、内科疾患、心因性を中心に鑑別を考え精査していくことになります。
行うべき検査
当院では下記の検査を行います。
- 胸部X線
- 呼気NO検査
- 気道抵抗性試験もしくは呼吸機能検査
- FSSG(GERDのスクリーニング問診票)
- RSI(LPRDのスクリーニング問診票)
GERD/LPRDを疑うも治療抵抗性である場合
- 上部消化管内視鏡(紹介先)
これでも異常が見られない場合
- 血液検査(血糖、甲状腺、鉄、血算、膠原病など)
心因性を疑う場合
- 心理検査(SDS、STAI)
【Case1】
「のどがイガイガするような咽喉頭異常感の加え、夕方~夜にかけて咳が悪化するが、夜寝ている間に咳で起きることはない。ホコリやダニ、花粉に対するアレルギー体質があり、季節の変わり目で悪化する。」
のどの違和感(イガイガ感)を伴い、季節の変わり目などで悪化する咳があれば季節性喉頭(こうとう)アレルギーを疑います。また、気管支拡張薬の吸入やテープが無効であればアトピー咳嗽(がいそう)も鑑別に挙がります。「夕方~夜にかけて悪化する咳」「会話中の咳」「横になると悪化する咳」「寝ている間は咳で起きることはない」という特徴は逆流性食道炎(GERD)や咽喉頭逆流症(LPRD)と類似しています。「アレルギー体質(アトピー素因)」があり、「季節の変わり目で悪化する咳」があれば、季節性喉頭アレルギーやアトピー咳嗽を疑う根拠になります。
症状
- のどがイガイガするような異常感がある
- 夕方~夜にかけて咳が悪化するが寝ている間は咳で起きない
- 会話中に咳が悪化する
- 季節の変わり目で咳が悪化する
- 花粉やほこり・ダニなどのアレルギーがある
- 吸入薬や気管支拡張薬が効かない
考えられる疾患
- 季節性喉頭アレルギー
- アトピー咳嗽
【Case2】
「咽喉頭異常感(ヒリヒリ感や喉がつまった感じ)に加え、胸やけ、もたれ症状、のどの違和感がある。食後に咳が悪化する。会話中に咳が悪化する。夕方から夜にかけて咳が悪化するが夜寝ている間に咳で起きることはない。」
胃酸が逆流性して食道が炎症を起こす疾患を逆流性食道炎(GERD)、のどが炎症を起こす疾患を咽喉頭(いんこうとう)逆流症(LPRD)といいます。GERDやLPRDは、喉の違和感(咽喉頭異常感:イガイガ感、つまり感)を伴う咳が特徴で、「夕方~夜にかけて悪化する咳」、「会話中の咳」、「横になると悪化する咳」が特徴です。ただし、寝ている間に咳で起きることはあまりありません。
症状
- のどがヒリヒリ、つまったような異常感がある
- 夕方~夜にかけて咳が悪化するが寝ている間は咳で起きない
- 会話中や食後に咳が悪化する
考えれる疾患
- 逆流性食道炎(GERD)
- 咽喉頭逆流症(LPRD)
【Case3】
「通勤途中の電車や仕事中など突発的に喉のつまり感やしめつけ感に加え空咳がでる。呼吸が吸えない感じ(呼吸が浅い感じ)がある。帰宅後や休日、就寝中にはそのような症状は起こらない。仕事に集中している時には気にならないことが多い。」
通勤中や仕事中にみられる咽喉頭異常感(つまり感)と空咳を認めますが、仕事に集中している時や帰宅後、休日、就寝中には症状が気にならないことから心因性を疑います。
症状
- のどのつまり感やしめつけ感(咽喉頭異常感)
- 空咳(仕事中や勤務中など、精神的な緊張を伴うような場面)
考えられる疾患
- ストレス球
- 心身症
- 心因性咳嗽
- 声帯機能不全
- 喉頭痙攣
痰がからむ・つまる
こんな症状はありませんか?
- のどに痰がからむ
- のどに痰がつまって苦しい
- 痰がからんで出そうとしても出ない
- 痰を出そうとして咳が出る
痰がからむ・つまる原因は?
痰がのどにからんだり、つまったりすると咳の原因となったり、呼吸が苦しくなったりします。これらの症状を起こす原因にはどんな疾患があるのでしょうか。
痰がからむ・つまる疾患一覧
診断のポイント
- 痰が実際に出るか、出ないか
- 痰の色の性状は(黄色なのか、白色なのか、透明なのか)
- 呼吸困難感を伴うか
- 後鼻漏(鼻がのどに落ちる感じ)があるか
- 喫煙歴があるか
- 症状が悪化するタイミングは(食後、臥床、寝ている間)
のどにあるのは本当に痰かどうか
痰は気管支から分泌され、喉へ排出されます。喉に痰が絡んだ感じやつまった感じがあると、痰ではないかと感じられると思いますが、鼻がのどに落ちているもの(後鼻漏)であったり、逆流性食道炎が原因でのどが焼けていることも実際には多く見られます。その症状がいつ悪化し、痰の有無、痰の性状なども診断を行う上で参考になります。
【Case1】
「数年来、喉に痰がつまった感じがあり、呼吸が苦しい。喫煙歴あり(20本×30年)。最近階段や坂道で息切れがするようになった。
症状
- 慢性的な痰つまり感
- 労作時の息切れ
- 喫煙歴
考えられる疾患
【Case2】
「感冒を契機に喉に痰がからむ感じが強くなり、痰を出そうとして咳込む。せき込むと吐きそうになる。(咳上げ)鼻が喉に落ちる感じ(後鼻漏)や、膿性の鼻汁が出る。」
症状
- 痰が喉にからむ
- 咳上げ
- 後鼻漏
- 膿性鼻汁
考えられる疾患
- 上気道咳症候群(後鼻漏)
- 副鼻腔炎
- 感冒後咳嗽
呼吸が苦しい(呼吸苦)
こんな症状ありませんか
- 呼吸が浅い感じがして苦しい
- いくら息を吸っても吸いきれない感じがする
- 息が吐きづらい感じがする
- 喉が締め付けられるような感じがして苦しい
- 胸が重たい感じがして苦しい
呼吸苦は様々な原因で起こります。例えば気管支、肺、のど、貧血、心臓、心因性、逆流性食道炎などです。呼吸器以外の原因でも呼吸苦が起こるということが、診断をさらに難しくしています。
クリニックでみる呼吸苦を来す原因
診断のポイント
- Onset(いつから、どのように呼吸苦が起こったか?きっかけは?)
- どんな呼吸苦か(息が吸えない、息が吐けない、のどがつまる)
- 付随する症状は?(胸痛、動悸、発汗、冷汗、掻痒感、咳や痰、浮腫)
- 苦しくなる時間帯は?(日中、夜間、臥床時、就寝中)
- 過去にも同じようなEpisodeを繰り返しているか
- 基礎疾患(糖尿病、高血圧、脂質異常症、腎不全など)はあるか
- 食物アレルギーの有無
- 薬内服の有無
呼吸器内科での診断手順
- 緊急性、疾患頻度、患者背景から想定される疾患に対し問診、検査を行います
【Case1】
「20代男性、4日前に突然発症の胸痛および呼吸苦が出現。」
検査
- 胸部X線
診断
- 自然気胸
【Case2】
「70代女性、1週間前からの息切れ、夜間就寝時(臥床時)の呼吸苦」
検査
- 胸部X線、心電図
診断
- 頻脈性心房細動によるうっ血性心不全
【Case3】
「50代男性、コロナ罹患後より続く呼吸苦、息切れ。」
検査
- 胸部X線
- 心電図
- 血液検査
診断
- 肺塞栓(紹介先で診断)
【Case5】
「30代男性、2年前から続くのどのつまり感と呼吸苦」
検査
- 胸部X線血
- 検査
- F-scale問診票
- 上部消化管内視鏡検査
診断
- 咽喉頭逆流症(紹介先で診断)